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著者:岡崎祥久
出版:フィルムアート社
発売日:2026年6月
仕様:四六判 213ページ
叔父が残した唯一の遺品は、軽くて手ざわりのよい白い皿だった。非正規労働で暮らす男はやがてその力に気づく。購入したモノの代金を返す皿が、男の部屋と人生を変容させていく表題作「キャッシュとディッシュ」。書籍取次センターで働く男は、春になったら絵の学校へ行くことを支えに冬を越えてゆく。単純労働、屋上の陽光、オートバイ、巨きな女。流れていくコンベヤーの前で抜け出すはずだった時間が過ぎていく群像新人文学賞受賞作「秒速10センチの越冬」。一九九七年と二〇二〇年、二十余年の時を隔てて描かれた、すり減っていく生活、見えない出口、ずらされていく未来、自己責任。失われた三十年の閉塞と抵抗を刻み込んだ二編を収録。