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著者:岡幸江
出版:左右社
発売日:2025年7月
仕様:B6変型判 333ページ
「わからないか? わからなくていいんだ。わからなくても、聴いていることが大事なんだ。」
祖父母世代から孫世代へ、暮らしのなかで人から人へうけつがれてきた伝承。阿部ヤヱは最後の伝承者として、遠野の地で「伝承を伝える」ことに生涯を捧げてきた。阿部が伝えようとしてきた、文字に頼らない「人の一生を育てる伝承」の世界を、社会教育、地域教育の観点から描き出す。
現代に生きる私たちは、「文化」を何かフォーマット化されたものや、わかりやすい具体において思い浮かべがちだ。わらべ唄と聞けば、「花いちもんめ」や「かごめかごめ」など、過去に唄い聴いた、ある「唄」を思い浮かべるだろう。昔話と聞けば、動物が出てきたり、奇想天外な、実際のわたしたちの暮らしとはかけ離れたファンタジーのように思うかもしれない。
けれども阿部は「暮らし(人生)そのものがわらべ唄」と語る。暮らし・人生とわらべ唄がイコールに結ばれるとは、どういうことなのだろう。そして、阿部がわらべ唄や昔話を通して伝えようとする伝承とは、いったい何なのか。(「第一章 阿部ヤヱと抵抗の精神」より)