new
著者:頭木弘樹
出版:みすず書房
発売日:2026年10月
仕様:四六判 512ページ
文学紹介者としてカフカ文学に新しい光を当て続けてきた著者が、本書では『変身』を五年以上かけて新訳しながら、じっくり読んでいく。ある朝目覚めたら、虫になっていた―という設定のせいで、非現実的な不条理小説と思われがちだが、”身体で読む”達人と一緒に読めば、まるでドキュメンタリーのように迫真の、胸に刺さる場面の連続。ままならない心と体、家族とケア、居場所と権力構造といった、今日の私たちの切実なテーマが、百年以上前のこの小説に、背筋が凍るほど深く描かれている。「もぐらの視点」「見せない力」「権力の精通者」「直立することの不安」など、カフカの世界に分け入るための手がかりも、たくさん潜んでいる。清新な訳文でまた味わいたい。『変身』は今を生きる私たちの日常の物語だ。
目次
なぜ「すごくゆっくり」なのか?
現実への補助線という衝撃
カフカの「見せない力」
虫になったのに遅刻を気にするのはおかしい?
カフカの語り口と笑い
ベッドから出られない
罪悪感がやってきてベッドから出る
身体で読む文学
ドアが開かれる
どうしても受け入れがたいこと
出たとたん、追い戻される
自分の変化に食卓で気づく
グレーゴルの食卓
食べないことと飲まないこと
お金の問題
窓の大切さ
ケアの熱狂―もっと世話するために、もっと不幸になってほしい
いちばんの味方がいちばんの敵に
林檎が背中にめりこむ
家族熱〔ほか〕